皆さんの周りには、育休を取得された男性社員の方はいらっしゃいますでしょうか?
男性育休推奨が進む中、まだまだ、身の回りには実際に取得している方は、少ないのではないでしょうか。
今回は、半年間の育休を取得した筆者が、育休体験記として、復職後に部署に対して説明した内容を紹介します。
育休体験記ですが、上司や同僚向けの話だったので、子どもとの生活がどうだったかよりも、育休取得に向けた準備で感じたこと、について話をしました。
これから育休を取る方の参考になったら嬉しいですし、もし同様に育休体験記を職場で話される方がいたら、どんな内容を話したらよいかの参考にもなったら嬉しいです。
まずは感謝を伝える
まずは育休取得を受け入れてくれた職場と、空いた穴を埋めてくれた同僚の皆さんに感謝の気持ちを伝えます。
育休は、たしかに法律で守られた労働者の権利です。
しかし、権利とは言えど、取れて当然という気持ちではなく、育休を取れた感謝は、忘れずに伝えましょう。
特に長ければ長いほど、しっかりと伝えるべきです。
最初にバーンとお礼を出してしまえば、そのあとの内容も、見てやるか聞いてやるか、という気持ちになってくれると思います。
なお、私は、お礼のページに、子どもの写真をたくさん載せて、報告しました。
かわいい赤ちゃんが見られて良かった、と好評でした。
ぜひお気に入りの写真を入れてみてください!
家事・育児をして感じたこと
次に、実際に育休中に家事や育児をして感じたことを伝えました。
私は、家事・育児は、業務量に例えると、80時間残業相当と考えています。
1日8時間 x 20日間の勤務を、毎月の勤務量とすると、80時間残業は1.5人分の労力、ということになります。
1ヵ月なら、ハイの状態でできるかもしれないけれど、数か月間続けるのは無理だし、それを妻に押し付けるのも無理、ということを伝えました。
80時間残業ならこなせるじゃん!と聞いてて思った方もいるのかもしれませんが、その人ができると思ったなら、それでよいと思います。
あと、肉体的な負担以外にも、精神的な面として、大人と話したくなる、という想いを強く抱きました。
夫婦で育休だと、たしかに大人はいますが、世の中と隔絶されている感は否めません。
せっかく復職したので、仕事のことでも育児のことでも、皆さん私と話をしてください、と。
80時間残業は、わかりやすいたとえだと、子育てを経験した女性からも言われましたし、上司からも、実感しやすい、とのコメントをもらいました。
育休準備のスケジュール
続いて、育休準備のスケジュールを説明しました。
私の場合は、少し早いと思いましたが、妊娠3ヵ月の時点で課長には育休取得の考えを打診しました。
これは、このタイミングが、4月だったこともあります。
育休取得に向けた上司への相談については、こちらの記事にもまとめています。
4月と言えば、その年度の業務分担が決まるタイミングということで、11月ごろからいなくなることを伝える必要がある、と思い、早めに相談しました。
そして、6月ごろにいわゆる安定期に入ったとされるタイミングで、同僚たちに共有し、引継ぎの準備等に入ってもらいました。
充分に引継ぎ期間を用意し、自分がいる間に、一度は仕事を回してもらう、という体勢を目指しました。
また、育休開始ごろのスケジュールとして、生まれた直後は有給を使い、トラブル時には出社できるように調整しました。
15日程度、有休を使い、生まれた月の翌月から、育児休職を開始しました。
トラブル時に出社できるように…と書きましたが、本音は、育休期間が年度末の3月をまたぐので、有休をできるだけ消費したかった&育児のための休み期間を長くとりたかった、というのがあります。
結果的には、メールで数件問い合わせが来ただけで、出勤対応ほどにはならなかったです。
このような調整をして、育休は生まれた次の月から取得しています。
育休準備で感じたこと
ここでは、取得希望者・予定者へ向けてと、取得する人が出るかもしれない管理職に向けて、感じたことを話しました。
取得者に向けて
取得希望者に向けては、以下の3点を伝えました。
国の制度・会社の制度を調べてから上司に相談しましょう
妻の妊娠と、育休の相談を上司にするときに、なんとなく育休取りたいです…だけだと、話は進みません。
いつとるのか、どの期間取るのか、育休制度は男性も対象なのか、上司側にどのような手続きがあるのか…
いろいろな質問が出てきます。
答えられないと、気分で休みたいと望んでいるだけと思われてしまい、育休を取ること自体を否定されかねません。
育児休業は国の制度であること、男性も対象であること、職場の制度の確認、取得に関するメリットデメリット、などは調べておきましょう。
ぜひこちらの記事も参考にしてください。
人事から情報をもらわないといけないけど、先に人事に相談するのは気まずい、などという場合には、育休希望の旨だけ上司に相談するのもありかと思います。
ですが、その場合にも、人事からもらわなくてはならないので、先に伝えました、これから内容は調べます、という方針はしっかりと述べた方が良いでしょう。
できるだけ早く伝えましょう
長い期間の取得を考えているほど、早く伝えましょう。
取得者の育休開始に向けた準備も大変ですが、上司もやることはたくさんあるはずです。
この先2,3年で考えていた業務に対して、人が場合によっては1年いなくなるわけですから、人員調整も必要ですし、仕事量の調整も必要です。
引き継ぐ先の担当も決めなくてはいけません。
制度上は、育休開始日の1ヵ月前から申請できますが、長い時間を確保して引継ぎなどを進めた方が、取得者にとってもメリットがあります。
説明時に育休という略称は避けましょう
この記事では、育休という略称を使っていますが、職場に相談する場合は、略称はおススメしません。
育児休業・育児休職・育児休暇…さまざまな育休があります。
会社によっては、独自制度を用意しているところもあり、混乱を招く場合があります。
私の会社でも、育児休暇という会社独自の20日分の休暇の付与を行っており、自分は1ヵ月以上の休職のつもりで育休と言ったのに、上司は最長20日までの休みなのだな、と考えてしまうことも起こりえます。
※育児休暇の存在を知っていれば、育児休業について明るい上司なので、確認してもらえると思いますが…
いずれにしても、略称で話すのは避けた方が良いです。
上司へのお願い
続いて、上司へのお願い3つです。
企業側からの制度説明が義務になったことを知ってほしい
2022年4月から、育休対象者に対して、企業側から制度の説明が義務化されました。
何も職場の上司が説明するわけではなく、人事部など担当部署が対応すればよいのですが、管理職として、このような法律になっている現状を知ってほしいです。
知っていれば、「子どもができた分しっかり働かないとな」や「育休なんて女が取るものだ」なんて言葉は、出てこないと思います。
業務割り振り大変ですが、令和時代の管理職として、知っておいてほしい知識です。
業務振りや人員希望を出す時期を課員に伝えておくと良いかも
職場で年次計画や中長期計画が、共有されることはよくあります。
課員ももちろん聞いています。
ですが、その計画がいつから考えられていて、人の割り当てがどのように決まるのかは、伝わっていないと思います。
育休を考えるのは、20代後半から30代と、まだまだ会社の方針に関わる計画策定には入っていない世代かと思います。
このような人たちにも、人の割り当てが決まる時期を伝えておくと良いでしょう。
そうすると、その時期を見越して、少し早めに育休の相談をしてくれる部下もいるかもしれません。
ここはあくまでも可能性です。
妊娠のタイミングなんてわかりませんし、業務の内容によってはあまり気にならないのかもしれません。
プライベートなことも話せる関係性を構築しておきたい
妊娠・子育てなどは、プライベートなことなので、職場では話しにくい、と考える人もいます。
なかなか男性同士でも話しづらいですし、上司が女性だったらなおさら、話しにくいのかもしれません。
もっとも、コミュニケーションは双方のものなので、課員側にも、関係性構築の役割はあると思います。
プライベートなことを話せる関係が構築できていると、その中でその社員の家族に向けた考え方を知ることができるかもしれません。
ふとしたことで、子どもを考えている、ということも話に上がるかもしれません。
情報収集、大切です。
制度上は1ヵ月前でも申請できます。が、それはお互い気持ちよくないですよね。
早く情報を得るという意味でも、関係性構築は大切にしたいです。
妻の感想
ちょっと重苦しい話が続いたので、箸休め的に、妻の話を入れてみました。
私が妻からもらった感想は3点です。
産後1ヵ月くらいに話したときに、
「産前産後はいてくれてよかった」
と言ってもらいました。
予定日前から、有休を使って休みに入っており、実際に出産した日も、夜中でしたがすぐに妻を連れて病院に行くことができました。
コロナの影響で、立ち合いは出来ませんでしたが…
産後も、病院から送られてくる妻からのメッセージを逐一見ることができました。
そして、これは私の母、妻から見たら義母、から又聞きしたのですが、
「家事を頑張ってくれた」
と伝えていたようです。
私にとっても慣れない育児でしたが、妻は体もボロボロ、メンタルもぐちゃぐちゃだったようで、育休を取って家事育児に、時間をフルで使って良かったと思っています。
そして、復職前に聞いた時に、
「総じて良くやってくれていたと思う」
と言われました。
なぜ上から目線…笑
…と、なんとか取るだけ育休にはなっていないことを報告しました。
ちなみにここで、妻と息子を写した写真が、とある公園のフォトコンテストに入賞したので、自慢しました。
写真を使って、体験記の報告を飽きさせない工夫、効果ありです。
育休を考えている方へメッセージ
そして、最後は、育休取得を考えている方へのメッセージ、としました。
伝えたことは、
「前例がいるからなんとなくとる、のは止めましょう」
です。
職場で初の、長期、半年間の育休取得者が出たということで、これから続いていくことを願っています。
ですが、育休取得にはメリットもデメリットもあります。
メリットとしては、
子どもの成長を間近で見られるし、親としても成長できます。
仕事の面でも業務の俗人化の解消に貢献できます。
おまけで、ワールドカップやWBCがリアルタイムで見られたことも、言ってみました笑
逆にデメリットとしては、
やはり一番大きいのは、収入が減ることです。
育児休業給付金も、社会保険料の免除もありますが、
給付金には上限もありますし、出社しなかった分は賞与にも影響します。
また、期間によっては、仕事は止まっているだけで、引き継がれないものもあるかもしれません。
その期間の仕事が溜まっているだけとなります。
これらのメリットとデメリットを、認識したうえで、育休に関する結論を出す必要があります。
ぜひ、「夫婦で話し合って、各家庭に合った育休の要否・時期・期間を決めましょう」というメッセージで締めました。
頂いた感想
体験談を報告して、頂いた感想は以下のようなものがありました。
・家事育児を経験して感じたことは、まったく同じことを感じた。同じ部署にいて同じ経験をして抱く感想は、男女問わずなのだなと思いました(先輩ママさん)
・写真が良かった。かわいい赤ちゃんを見られてほっこりした(先輩ママさん、先輩パパさん)
・報告の流れが完璧でした。そして、長期育休というモデルケースを作ってくださって、ありがたいです(後輩くん)
・残業時間のたとえがわかりやすく、実感できました。80時間残業しているのに、夫が酔っぱらって帰ってきたら、そりゃイラっとするわな…(部長)
などなどです。
さいごに
半年間の育休という、貴重な体験ができたので、その経験を職場の方に知ってもらおうと、体験談の報告の場をもらいました。
個人的な想いとしては、「育休が取れた感謝は、男性育休の普及をもって、恩返しとしていく」と考えています。
これは、会社に対しても、社会に対してもです。
ぜひ、体験談をもとに、育休取得の検討をしてみてください。
ご家族と話し合って、自分たちに合った育休を探してみてください。